自分を信じる感情「自己効力感」を親としての関わり方で高める方法
「こんにちは、仕事と教育の両立をサポートする託児サービスを提供する伸芽'sクラブです。」
子どもの行動に大きく影響する!?「自己効力感」とは?
自己効力感とは、「自分はこの課題を解決できる!」「自分ならやればできる!」などと、自分の能力や成功を信じる気持ちのことです。自己効力感は、子どもの行動に大きな影響を与えます。自己効力感が高い子どもは、自分に自信をもっているため、さまざまなことに積極的にチャレンジします。仮にチャレンジに失敗したとしても、すぐに立ち直ることが多いでしょう。
逆に自己効力感が低い子どもは、「自分にはできそうにない」「きっと失敗してしまう」などとネガティブに考え、課題に挑戦することを避けてしまいます。挑戦に失敗した場合も、「やっぱり自分にはできなかった」などと落ち込むことが多いでしょう。失敗を恐れてさらにチャレンジを避けるようになる、という負のスパイラルに陥るケースもあります。
似ているようで異なる「自己肯定感」と「自己効力感」
自己効力感と似た言葉に、自己肯定感があります。どちらもポジティブな感情ですが、2つの言葉には違いもあります。ここでは、自己効力感と自己肯定感の違いについて確認しておきましょう。
自己肯定感は自分の存在自体を認める気持ち
自己肯定感は、「自分はここにいてもよい人間だ」「自分は価値のある人間だ」と自分の存在自体を認める気持ちのことです。能力やスキルとは関係なく自分を認められることが、自己肯定感の大きな特徴といえるでしょう。
自己肯定感が高ければ、欠点や苦手なことがあったとしても自分を否定することはありません。「自分には短所があるけれど長所もある」「苦手なことがあったとしても問題はない」などと、前向きに考えられるのです。
自己効力感は自分の能力を信じる気持ち
一方の自己効力感は、前述のとおり、自分の能力やスキルを信じる気持ちのことです。自己効力感が高いと、「自分ならこの問題を解ける!」「チャレンジすればきっと成功する!」といった前向きな気持ちで物事に取り組めるでしょう。
自己効力感が高いほど、自己肯定感も高い傾向にあります。自分の能力やスキルを信じてさまざまなことにチャレンジした結果、自分の存在自体を認められるようになるのです。
自己効力感が高い子どもに共通する4つの特徴
自己効力感が高い子どもには、どのような特徴があるのでしょうか。ここでは4つの特徴を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
1.自己効力感が高いと学力もアップしやすい
自己効力感は、学力や成績に大きな影響を与えます。ベネッセ教育総合研究所による小・中学生を対象とした調査から、自己効力感が高い子どもほど、学力も高いことがわかりました。
小学生においては、成績上位層の87.0%が「やる気になれば何でもできる」という自己効力感をもっていたのです。成績中位層では83.1%、成績下位層では74.2%と、自己効力感をもつ子どもの割合は下がっていきます。中学生においても同様で、成績上位層では83.7%の子どもが自己効力感をもっていますが、成績中位層では79.2%、成績下位層では68.0%と、数値は下がっていきました。[注1]
[注1]ベネッセ教育総合研究所「自己効力感が高い小・中学生はどのような子どもか」
2.自己効力感が高いと勉強に積極的に取り組む
同調査では、自己効力感と勉強への取り組み方の関係についても分析されました。その結果、自己効力感が高い子どもほど、計画を立てて勉強する、遊びの時間と勉強の時間のメリハリをつける、難しい問題にもじっくり取り組む、という特徴があることがわかったのです。「自分なら難しい問題でも解ける」という前向きな気持ちから積極的に勉強をするため、学力アップにもつながっているといえるでしょう。
3.自己効力感が高いと自分の行動を自分で決められる
自分の行動を自分で選択できることも、自己効力感が高い子どもに共通する特徴です。自己効力感が低いと、失敗を恐れて、行動すら起こせないケースもあるでしょう。何かを決めるとき、親を頼ってしまうケースも多いかもしれません。
自分の行動を自分で決めることは、自立への大きな一歩です。親のサポートが必要な場合もありますが、子どもの自己効力感を高めることで自立を支援することも大切です。
4.自己効力感が高いと人間関係が広がっていく
自己効力感が高いと、さまざまなことに積極的に挑戦できるため、人間関係が広がりやすいでしょう。たとえば、スポーツや習い事などを始めて、スキルを伸ばしつつ、友だちを増やす場合もあります。人間関係を構築できることも自信につながるため、さらなるチャレンジ精神が生まれることも期待できるでしょう。
成功体験がカギ!子どもの自己効力感を高めるための3つのポイント
子どもの自己効力感を高めるためには、成功体験を積ませたり、子ども自身が気づいていない成功をほめてあげたりすることが大切です。順番に詳しく見ていきましょう。
1.小さな課題で成功体験を積ませる
自己効力感が低い子どもに対していきなり大きな課題を与えても、チャレンジすらしない場合もあるでしょう。まずは小さな課題を与え、少しずつ成功体験を増やすことが大切です。
たとえば勉強なら、簡単な基礎問題から始める、1日30分だけは机に向かう、といったスモールステップを用意してあげましょう。「自分にも解けた」「勉強できた」という実感を得ることで、少しずつ自己効力感が高まっていきます。
2.手助けしすぎないようにする
子どもがうまくできない場合でも、すぐに手助けするのは避けましょう。自分の力でやりきることで、子どもの自己効力感が高まるからです。問題を解くスピードや課題を解決する方法は、子どもによって異なります。親として困っている子どもをサポートしたくなるのは当然ですが、子どもの試行錯誤の過程を邪魔しすぎないように注意しましょう
3.本人も気づかない成功をほめてあげる
子どもが何かを達成したときには、しっかりとほめてあげることも大切です。子どもにとって、親からほめられるのはとてもうれしい体験です。ほめてもらうことで、成功体験がより記憶に残り、自己効力感も高まっていくでしょう。
仮に子どもが失敗した場合でも、努力した過程やチャレンジしたこと自体を認めてあげることが大切です。「失敗しても大丈夫」「親は自分を信じてくれている」と子どもが感じることで、自己効力感は高まっていきます。
子どもの自己効力感を高めるため親としての関わり方に注意しよう!
今回は、自己効力感が高い子どもに共通する特徴や、自己効力感を高めるポイントなどを紹介しました。自己効力感が高い子どもには、さまざまなことに積極的にチャレンジできる、学力が高い、といった特徴があります。自己効力感が高いほど自己肯定感も高いため、より前向きに、より積極的な行動ができるでしょう。
子どもの自己効力感を高めるためには、スモールステップを用意して成功体験を積ませることや、子ども自身も気づいていない成功をほめてあげることなどが大切です。成功とは、数値や成績などの目に見えるものばかりではありません。努力の過程やチャレンジ精神など、子どもの行動自体をほめることで、自己効力感を高めてあげましょう。